今回は中部ライフガード 防災・減災・危機管理展に出展された
『一般社団法人 明日への架け橋』(https://asuenokakehashi.com )へ取材に伺してお話しいただいたうちの課題のひとつに挙げられるのが、
仮設住宅や災害公営住宅です。
避難所生活ではプライべートスペースがほぼ無いに等しいです。
たくさんの方が仮設住宅への入居を希望していますが、なかなか設置が進まなかったり、
仮設住宅の設置に利用可能な土地が無いなどの理由で、仮設住宅を希望しているにもかかわらず、入居できない希望者も少なくありません。
能登地震の場合は8月ぐらいまでには希望者はほぼ入居できる予定でしたが、
実際は8月になっても入居できない方々もおりました。
その地域の地盤や災害への備えによって被害状況も様々なので、どれだけまわりと連携を取れているかが重要になってきます。
設置ができても、入居者のバランスも必要です。
阪神・淡路大震災時には高齢者ばかりを優先したことにより、入居者の世代間バランスが崩れ、
仮設住宅団地内での地域コミュニティの中心となる快活な若い人材が不足する状態になってしまったことがありました。
仮設住宅の入居に関して、コミュニティに配慮すべき点としては、
年配の方もいて、若い方もいて、満遍なく多様な年代がいることで
普段の生活に近いものになり、仮設住宅の敷地内での近所付き合いや助け合いが出来上がります。
こういった復興支援は、最後の最後まで継続することは難しく、行政としては支援の手をどこかの時期で緩めねばならないため、
どうしても途中で支援が終わってしまいがちになると教えて頂きました。
仮設住宅から災害公営住宅に移る方が増える時期には、独居高齢者の孤独死が多くなる傾向にあります。
仮設住宅だと建物の構造上、隣室の音漏れなどが起きてしまいます。
ですが、音漏れがあることで逆に、「隣の方が生活している=生きている」と確認することが出来る側面もあるのです。
音があまりしなくなれば、心配した隣人が訪ねて様子を見たりすることにより、ケアもできますが、
災害公営住宅は仮設住宅と比べて強固な建物のため、壁も厚く遮音性が高くなっています。
その分、プライバシーは保てるものの、隣人の生活音が聞こえる機会が減り、
気づかれないまま孤独死してしまうリスクが高まるそうです。
災害公営住宅に移ることで支援が終わってしまう。
ずっと支援を続ける訳にはいかない部分もあるため、
とても難しい問題ではありますが、災害公営住宅に移行してからの支援も、とても大切だと教えて頂きました。
一見デメリットに感じていた生活音の音漏れがあることで、逆に「人がいる」「人が生活している」、それを感じることで、人との繋がりを感じることもあるのだと思いました。
Writer:ナカイフウカ(Tokyo/ https://www.instagram.com/f0u0ka_n/)