一般社団法人町田青年会議所が開催する、
防災イベントに参加させていただきました!
国⼠舘⼤学 防災・救急救助総合研究所
中林啓修 准教授を交えて、
「災害につよい街づくり」をテーマに
自分の命を守る”自助”と、周りを助ける”共助”の重要性を発信されています。
今回はオンラインにて避難所運営ゲーム「HUG」に参加させていただきました。
〈HUGとは?〉
避難所運営ゲームの頭文字をとり、「ハグ」と読みます。
津波や大震災など、大規模な災害時に避難所が
どのように運営されているのか、ゲームを通して知ることができます。
避難所を開設する際、もし何も手を打たなければ
殺到した私たち避難者は混乱状態に陥ってしまいます。
HUGは、そんな避難所のあらゆる状況と問題を想定し、
運営の対応や対策を模擬体験できるゲームです。
このゲームを取り組むにあたって、
避難所の特徴を知っているとより現場を想定しやすくなりますよ。
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それでは、実際に行なったHUGのゲーム内容をご紹介いたします。
〈避難者を円滑に受け入れよう!〉
場所:体育館(エリア分け有り)、別館、倉庫、グラウンド
季節:冬
天候:小雨
既にある程度の避難者を受け入れた状態で、新たに来る避難者の状況と
あらゆる場面を想定しながら避難者の配置を振り分けていきます。
ここからはゲームをやっていく上で生まれた課題点と、
その際に出た対策案をご紹介します。
あなたが避難所の受け入れ窓口だったらどう対応していくのか、
ぜひ想像しながら読んでみてくださいね。
【Q1】 沢山の避難者がやってきました。どのように整備しますか?
A「一旦グラウンドに待機してもらい、年齢・性別・状況などからグループ分けするとよいのでは?」
B「外は冬の小雨です。体温が奪われないよう迅速な対応が必要だと思います。」
C「まずは安全確認をし、問題なければ体育館に入ってもらいましょう。グループ分けはその後でも良いはずです。」
【Q2】 猫を連れた被災者がやってきました。ケージはありません。
A「体育館に案内すると、猫アレルギーの人が困りますよね。」
B「やむを得ない状況のため、猫は外のほうが良いのでは?」
C「外に野放しですか?出入りが自由であれば自宅との往復で面倒を見るのはどうでしょう。」
B「災害時の移動は危険です。段ボール等を用いて仮設ケージを作るのはどうでしょう。」
C「動物も家族です。室内にて飼い主と一緒にいるほうが、避難者の精神衛生上としても良いのではないでしょうか。」
A「それでは空いている応接室に隔離するか、飼い主も一緒に案内しましょう。」
B「空き部屋を利用するのであれば、応接室よりも多目的室のほうが物がないため安全なのでは?」
C「鳴き声配慮のためにも人がたくさんいるところから離れた場所や、トイレのために外へ出やすい配慮があるといいかもしれませんね。」
【Q3】 2歳と7歳の子ども連れの方が来ました。夫は夜に合流します。
A「既に子ども連れで避難している方が多くいる、倉庫に固めるほうがいいですね。」
B「そうですね、大きな声をだしたり走り回る可能性やおむつ交換なども配慮できます。」
C「しかし子どもが多くいるからこそ、旦那さんが夜でも入りやすいよう別館の1室を用いたほうが良いのでは?」
A「それでは合流後に倉庫へ移動としましょう。」
【Q4】 足を負傷した方が来ました。
A「生活面などの観点からお手洗いに近い場所がいいのでは?」
B「そうですね、状態確認をして軽傷であれば体育館に案内しましょう。」
C「今後のことを踏まえると、怪我人や病人は一ヶ所に集めたほうが医療ケアがスムーズになるのでは?」
A「それではひとまず受付近くに滞在してもらい、ケア対象者が増えたら空き部屋を活用しましょう。」
B「災害時における人の移動には、説明・交渉・整理など複数の問題が発生します。一度決定した場所からの移動は、周りへの配慮も加えて難しいかと。」
C「そうですね、では空室をケア対象者の滞在エリアとしましょう。」
【Q5】 看護師(女性)が避難してきました。
A「体調に問題がなければ手伝ってもらうのはどうでしょうか。」
B「いいですね、了承をいただければ共助に繋がります。連携をとりやすいよう受付近くのエリアに案内しますか?」
C「女性の案内エリアにもなるので、良いと思います。」
A「共助の姿勢が見受けられれば、ケア対象者と同室でも良いのでは?」
B「あくまでも彼女も避難者なので、少しでも心が休まるよう同室は避けるべきかと思います。」
【Q6】 妊婦の方が来ました。
A「女性エリアに案内しますか?」
B「医療的な配慮が必要かもしれないので、ケア対象者の部屋のほうが良いと思います。」
C「妊娠週数にもよりますが、すでに0歳の子どもがいる倉庫のほうが母親同士の交流もあり安心だと思います。」
B「倉庫の状況にもよりますが、外は寒いため暖かい部屋が用意できるのかも検討したいです。」
【Q7】 韓国人観光客(会話はカタコト)の方が避難してきました。
A「特に負傷確認がなければ体育館でも問題ないのでは。」
B「そうですね、年の近い人がいるエリアだと安心かもしれません。」
【Q8】 高齢者(車いす)の方が避難してきました。
A「自分で動きやすいのであれば体育館で、高齢者を含むエリアに案内しましょう。」
B「家族連れも多いので、周りの目もあり安心ですね。」
C「サイズにもよりますが、車いすには思っている以上のスペースや、トイレなど移動時の配慮が必要になります。」
A「それではケア対象者の部屋に案内しましょう。」
【Q9】 85歳の認知症の疑いあり(同伴者なし)の方が来ました。
A「認知症の方の特徴として、環境の変化に弱いという点があります。」
B「なるほど、医療的なケアが必要な可能性もありますね。」
C「あくまでも疑いありなので、認知の程度にもよりますが体育館など人の目があったほうが安心では?」
A「そうなると、家族連れや高齢者エリアなどのほうが理解が得られるかもしれません。」
【Q10】 家族連れですが、引きこもりのため1名だけ車滞在を希望しています。更に、犬も1匹います。
A「災害時はやむをえません、家族と一緒に行動してもらいましょう。」
B「犬もいるので、既に猫がいる部屋に案内しましょう。」
C「ただでさえ避難の不安があり、精神的ストレスが大きすぎます。グラウンドにて車滞在の案内をしましょう。」
B「それでは犬も一緒に預けますか?散歩やトイレもスムーズかと思います。」
A「そうですね、ただ1人では不安ですし、エコノミークラス症候群への注意も必要です。」
C「では定期的に家族による確認を行なうことを条件として提示しましょう。」
いろいろな課題点が発生しましたが、あなたはどのように対応しましたか?
あくまでも想定されたシチュエーションであり、
実際の災害時では迅速かつ最善の策を講じることが重要になります。
そのため、どの課題にも答えはありません。
今回のイベントには、企業の役員クラスの方や
防災専門の方など様々な方が出席されていたため、
違った視点から出た意見や革新をつく発案、専門知識に基づいた意見など
とても勉強になることばかりでした。
また、このゲームはいくつかのグループセッションにより進行されましたが、
その全体考察として中林啓修 准教授からご意見もいただきました。
〈中林啓修 准教授による考察〉
・認知症や怪我人はいち早く役所に伝え、二次避難施設に移動する。
その際、避難所は人で溢れかえっていると想定されるため、
避難所間での移動や周りへの配慮などを円滑にできるよう、
あらかじめ受け付け近くや別室に案内すると良い。
・車滞在を許可するのであれば、長時間同じ体勢でいることから
エコノミークラス症候群にならないよう、必ず目が届く対応と
身体を動かす声掛けが必要である。
更にコロナ下では車間距離を保ったうえで、
順番に換気を行うことも必要となる。
・若い人たちに手伝ってもらうというのもひとつの方法である。
特に修学旅行生などがいる場合、短期間で帰れるなど
精神的負担も軽いため声をかけやすい。
また、彼らのスペースが空くということも考慮できるため、
受け付け近くなど移動のしやすさも重要である。
1~2泊程度であれば1室を貸し出してしまうほうが、
無理に地域避難者を動かすより良い。
避難所にはさまざまな被災者がやってきます。
ペット連れ / シングル(ワンオペ)家庭 / 帰宅困難者 / 外国⼈ / ⾼齢者 など
さらに、「弱い⽴場の⼈たち」ほど後からやってきます。
すぐに避難できる⼈ほど「元気な⼈」が多くいたりするのです。
以上のことから、”できること”ではなく”必要なこと”をベースに考え、
多様性配慮を忘れないことが重要となってきます。
どうして多様性配慮が必要なの?
詳しくはこちら
実際の災害時に、私たちが被災者受け入れの窓口となることはないでしょう。
しかし、どのように運営されているのか、
どんなことに配慮すべきかを知っているだけでも
自助や共助を行う上で十分活用できると思います。
〈自助と共助の重要性〉
阪神・淡路大震災では、7割弱が家族も含む「自助」
3割が隣人等の「共助」により救出されており、
「公助」である救助隊による救出は数%に過ぎなかったそうです。
このような観点から、防災の輪を広げるべく今回のイベントが開催されました。
「強い⼈が弱い⼈を守る」防災から、
「みんなでみんなを守る」防災へ。