今回私たちは、地震の時に橋を支えてくれる
「緩衝チェーン」および「縦型緩衝ピン」の見学に行ってきました。
大地震があった際、橋の構造が鉄やコンクリートだけでは、衝撃力の緩和が考慮されていない場合、
各部材が設計通りに役割を果たせず、落下してしまったり破壊されてしまったりする可能性があります。
実際に阪神淡路大震災では多くの橋が破壊されてしまったり、
亀裂が入ってしまったりしたことで、被害の拡大に繋がったそうです。
その教訓を生かし、
現在の橋は「支承」「支承補完構造」「落橋防止システム」などで支えられている構造になっています。
今回の取材でお話をうかがったシバタ工業様では、
この「縦型緩衝ピン」と「緩衝チェーン」のゴムの部分の設計をされています。
全国で1000橋以上の実績がある「縦型緩衝ピン」のうち、約99%がシバタ工業様の製品です。
「縦型緩衝ピン」は、地震の際に一緒に動くことで振動を吸収し、
橋が落ちるのを防ぐ役割をしています。写真のように、ピンの部分に隙間があることで、
常時の支承の機能を損なうことなく、地震時にはゴムが衝撃を緩和してくれる仕組みになっています。
写真の奥に写っている部品が「支承」と呼ばれる部品で、ここにはゴムが使われていないため、
この「支承」を補完する役割としても非常に重要な役割を果たしているのが「縦型緩衝ピン」です。
今回見学させていただいた部分には4つの「縦型緩衝ピン」がありましたが、
この数は橋の大きさによって、地震の時にどのくらいの力が加わるかを計算して大きさや個数を変えているそうです。
主に支承と支承補完構造の2つによって支えられている橋ですが、
予想していないほどの大きな地震が発生してしまったら、2つともが壊れてしまう可能性があります。
その時に最後の砦として橋を守ってくれるのが「緩衝チェーン」です。
私たちがよく目にする機会の多いこの「緩衝チェーン」ですが、
ここにもシバタ工業様のゴムが使われています。
もし他の部品が破壊されてしまっても、この「緩衝チェーン」が最後の支えになってくれるため
絶対に橋が落ちない設計となっているそうです。
今回、橋の見学と取材をさせていただいて、
過去の教訓を生かして現在の私たちの安全が守られていることを感じました。
私自身は大きな地震を経験したことがないのですが、
過去の阪神淡路大震災の映像で橋が落下しバスが落ちかけている様子が衝撃的で、
橋はどうしても地震に弱いものだと思っていました。
橋が支えられている仕組みを実際に見学しながら教えていただき、
絶対に橋が落下しないように設計されていることを知ったことで、もし地震の時に橋の上にいても落ち着いて行動できる気がしています。
この取材を通して、私たちの身近なところでも安全が支えられていることに気づかされ、
まだまだ知らない防災についてもっと学んでみたいと思いました。
Writer:モリナツコ/Hyogo( https://www.instagram.com/12m725/ )